「クーデター」は、フランス語で「coup d’état」と綴る。これは「国家への一撃」という意味で、「état」が「国家」つまり「State」だ。国家とはフィクションである。そこに一応あるものということで、投機的に定立され、その意義を信じると機能するもの。だから国家は、その領域と理念を「宣言する(state)」必要がある。閉じた場所に理念を満たすなんて展覧会のようだ。特に最近は、閉じすぎて誰もいなかったりする。展覧会も「ステートメント(statement)」がつきものだ。
この企画では、さまざまな展覧会のステートメント(容易にアクセスできるもの)を、丁寧に読みます。美術的な文脈を補完したり、展示本体と綿密に照合するのはあくまで副産物で、主な目的は、そこにある文章を、丁寧に、国語の授業のように(より少しハイレベルに)読むことです。作者の考えを述べなさい。文法や語彙、レトリックに注目します。「レトリック」はもともと演説の技術なので、ステートと関係するはずです。要は読み書きの問題です。