Vacances

2020, installation

manzai performance (including improvisation): Yonesuku Kiyosu, Masayuki Yano

manzai filming: Okujoh

manzai editing: Euske Oiwa

manzai recording: Yoshiki Masuda

furniture: Natsuki COMOTO

music: Yoshiki Masuda

入ると、セットの裏手のような仮説壁の、やや高いところにディスプレイが設置されている。漫才がループで流れている。ヘッドフォンが2セット用意されており、聴くことができる。

結局「トウゲンキ」ってなんですか。
あの「トウゲンキ」はね、「盗聴器」の逆。
逆。盗聴器の。
うん、逆。

「やのきよす」と名乗る二人は「トウゲンキ」について話している。豪華客船に最近泊まっているのだけれど、「トウゲンキ」のせいで夜も眠れない。トウゲンキは「盗聴器の逆」で、勝手に話しかけてくるのだという。それはどこか見知った声に聞こえることもある。耳障りで大変困っているそうだが、ひっきりなしにボケがはさまり話が進まない。18分ほど。

仮説壁を回り込むところ、展示室の壁にテクストがある。

わたしたちはベッドにわかれて座り
そしてそれぞれ聞く

WE SIT IN THE BED DISTANTLY
AND LISTEN EACH

回り込むと部屋がある。四辺は展示室の壁と平行ではなく、斜行している。

枕辺のランプでベッドが薄暗く照らされている。ベッドはキングサイズで、四辺は2mほどあり、インディゴのフットレストがかかっている。両脇に真鍮のランプとそれを載せるテーブルがあり、向かって右のテーブルにはデスクが隣接している。壁紙は暗緑色に鈍い金色のアラベスク柄で、奥のカーテンには青い光が覗いている。豪華客船の一室かのように見える。

カーテンの横、先ほどと同じ高い位置にディスプレイがあり、長い長い漫才が流れている。切れ目のわからない50分のループ。冒頭のものと演者は同じだが内容は異なり、音声はベッドの中央真上に吊られたスピーカーから流れている。音声はシェードによって下方に指向しており、ベッドに座るか寝転がると聞きやすい。

ベッドはやわらかく、身体が沈む。誰か別の客が来たら気遣って距離をとる。

ベッドを回り込むとき、カーテンの向こうに、水槽に入ったボールと、アロマディフューザーが見える。カーテンは弱い風に揺れている。

片方に枕にこう記されてある。

ヘッドフォンを聞くことができた
カヴァーは使ったら捨てた

I COULD USE THE HEADPHONE
WITH MY DISPOSABLE COVERS

デスクにはiPhoneが置かれ、デスク脇のソケットに充電器が、枕のそばにヘッドフォンが伸びている。

ベッド際に座り、除菌カヴァーをつけて、ヘッドフォンをつけると、音楽が流れている。ヘッドフォンにはノイズキャンセリング機能がついている。音楽で漫才が聞こえなくなる。

カーテンを通ると、一面青い光で照らされている。カーテンが揺らていたのは、隅に置かれたサーキュレーターによる演出だとここでわかる。奥の白壁、やはり同じ高い位置にディスプレイがある。3つのディスプレイは平行だ。

流れている漫才は、ベッドで見ていたものと同じだ。ベッド真上にあったスピーカーからの音声が、カーテン越しに低く聞こえる。しかし音声は同期していてもカット割りが異なる。こちらの編集では、つねにどちらか片方の顔しか映らない。それも、話しているほうではなく、聞いているほうの表情だ。

カーテンの先だからバルコニーのようで、足元には白線、腰の高さにワイヤーが伸びている。左手にも右手にも水槽に入ったボールがあり、向かい合っている。陰には赤い電球が弱く光っている。

2つのディスプレイが同時に見える位置もあった。

バルコニーから部屋に戻る。正面には鏡があり、漫才が映っている。

Exhibition 'Vacances'

11.20.2020-12.21.2020, at Tokyo Art and Space Hongo (TOKAS Hongo)

selected for 'OPEN SITE 5', Open Call in TOKAS

install support: Tomoyuki Eguchi, Saki Iwai, Daiki Muramatsu, Rioha Nishimura, Mai Nunoya, Niki Saito, Momo Sasanoi, Kotomi Taniguchi, Tatsuya Usui, Shuntaro Yoshino, Sae Yuda

transport support: Shuntaro Yoshino

archive photo: Kosuke Nagata

Launch Website