Solarisation / Getting Lost
2024/2022/2020, webpage, paper stack with QR code, difference between two texts(Japanese translation of Stanislaw Lem's Solaris, one trasnlated from Polish and the other via Russian), NO electrical light
*this work was firstly published in the online space 'Getting Lost', and then displayed as installation in the real-venue exhibition.
「Solarisation」は、ある二つのテクストの異同である。ひとつは、ポーランド語の原著を定本に訳されたスタニスワフ・レム『ソラリス』(2004, 国書刊行会, 沼野充義訳)、もうひとつは、ロシア語版を主な定本に〈重訳〉したスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(1977, 早川書房, 文庫版, 飯田規和訳)。前者に存在し後者には存在しない部分のうちごく一部を抜粋している。前者に収録された、沼野による訳者解説にはこうある。
それは飯田訳がおそらく一九六二年にソ連で出たロシア語訳を底本とした重訳であるため、ポーランド語の原語の表現から微妙にずれている箇所が多いだけでなく、検閲によって削除された部分がかなりあるということだった。〔…〕これは必ずしも、検閲当局によって不適切な箇所が強制的に削除されるということではない。実際には、編集者、場合によっては翻訳者や著者自身が、『自主的』な判断により、当局との軋轢を避けるために、予め削除してしまうことが多かった。『ソラリス』ロシア語版の削除についても、詳しい事情は分からないが、おそらくは編集者と翻訳者が相談の上、当局が好ましくないと判断しそうなところ、あるいはソ連の読者には理解しにくいと思われたところを、当局の顔色をうかがいながら削除したものではないかと、私は推測している。
本作は「遭難|Getting Lost」という、2020年5月に公開された、ウェブ上の“展示室”に展示され、その後2024年、やまなしメディア芸術アワード2023–24の入選作展覧会にて新たにインスタレーションされた。
Exhibition 'Yamanashi Media Art Award 2023–24'
3.8.2024-3.30.2024, at Several Places in Yamanashi
organizer: Yamanashi Prefecture
archive photo: Tomoyuki Eguchi